ココでは色々な事があったね、試合以外でも。
まず非常に懐かしい昔の仲間にサンパウロFC(以下、SPFC)トレーニングセンターで出会った。
彼の名はゼ・カルロス。
彼は28歳にしてSPFCで右サイドバックとしてブレイクし、その年に行われたフランスW杯98’の代表メンバーに選出されたある意味ラッキーボーイ的選手。
途中交代だが実際にカフーに代わり出場している。
彼の経験は決してW杯準優勝メンバーであったからでどうのではなく、そこに行き着くまでの道のりが他の選手とは一風変わり泥臭いものであったから興味を惹く。
彼は私と年齢が変わらない時にサンジョゼで契約するかしないかの最中にいた。
紅白戦にもろくに出場できず、チームから干されていた。
サンジョゼを出た後、マイナーチームを渡り歩き、SPFCまでこぎつけた努力は素晴らしすぎる。
そして、そのときにレギュラーで活躍しW杯へ行った。
下積時代が長い彼は、長い間現役で頑張るだろうと思っていたが、やはり38歳になってもパウリスタの1部リーグでプレーしていたとコメントしていた。
COJBの試合中であったため、あまり長くは話せなかったが連絡先を交換して別れた。
まさに信じて努力し、戦い続ければチャンスは開けるという例だ。
さて、本題に入るけれど、SPFC、やはりこのチームは何よりも別格だと改めて感じたよ。
広大な敷地に7〜8面の天然芝グランド、GK用コート2面、200名入る選手寮、サラブレッドを育成するには最高の環境である。
ライバルチーム・コリンチャンスともやったけど、申し訳ないがSPFCの方がよっぽど国際的だし、受け入れ態勢もしっかりしている。
毎年日本へ下のカテゴリーが夏の時期に交流試合をする為に招待されているのも頷けるよ。
トレーニングセンターはU-20の選手のみが過ごす環境。
車を所有している選手でもいつも管理所に鍵を預けていなくてはならず、勝手に外に出られない。
雑念を取り除きサッカーに集中させる。
このチームから次々にタレントが生まれる理由が良く解かる。
このトレーニングセンター、要するに20歳以下のカテゴリーの最高責任者は言う。
「SPFCは長年にわたり、所有スタジアム『モルンビー』に資金を掛け、改修など色々な面で時間もかけすぎた。
ここに来てようやくこのような環境に着手する事が出来た」と。
これから更にホテルの建設、人工芝のコートなど増設して行く予定らしい。
又選手育成で数々の才能ある選手達を見て来て言う。
「SPFCでも下から念入りに育ててきた選手を16歳の誕生日を迎えた時点で契約をしてしまう。
でないと、代理人や他クラブがその選手にもっと好条件を出してクラブから持ち去ってしまう。
列をなす様に自分のチャンスを待っているものが沢山いて、試合に使われるように競争しているが、当クラブはしっかり1日の遅れも無く給料を支払っている。他クラブなら放って置かれるのが普通。
しかし、少し勘違いしている選手もいる。
契約はやはり5年単位で複数年するのだが、例えば2010年まで契約がある選手が、あと3年は生活が保障されていると思いこみ、努力をしなくなったり、レンタル先のクラブで我慢が出来ず監督と衝突したりして又クラブに戻ってきてしまう選手もいる。
”自分はもうスターだ!”と思いこんで若くしてサッカー人生を自ら駄目にしてしまう選手も少なくない。
SPFCでも次々にタレントが現れるので、足踏みしている選手にいつまでも付き合っている時間はないのだ」という。
最高責任者は最後に付け加えた。
「クラブが選手を潰すのではなく、選手自らが己を潰しているだけなんだ。それに気付く必要がある」と。
SPFCでは19歳以上の選手は一般的には獲らない。
各州で活躍した選手、スカウトに呼ばれる以外は。
また、10〜12歳の選手を集め、サッカー選手になるために教育している。
トヨタ杯で世界一になっているクラブがどんな考えで日々奮闘しているのか、追っていけば追っていくほど興味深い。
対サンパウロFC(SPFC)戦
1(1-2、0-3)5
高級品を目指す者が高級品を知らずして高級品に近づくか?
それは難しい事だろう。
ボールの動くスピード、ボールと一緒に人が動く一瞬のスピード、寄せのスピード、フィジカルの強さと体の使い方、ボールを運ぶ加速度。
質の違いを感じるね。
ここSPFCでは10〜12歳の段階でサッカーとサッカー以外の教育も受けている。
競争から勝ち上がった者同士がまたトップに向けて競争を続ける。
また、SPFCを中心に他のクラブ、サッカースクールにもこのような姿勢が発信され、その中で教育される。
日本の底辺で奮闘する指導者の人達に、サッカーと通じた人間教育がどのようなものなのかをどんな形で発信できるであろうか。
どんな世界でも若い世代が活躍しているが、一線級に出てくる選手達は大人びて落ち着きがある。
まさに高級品を目指している空気が漂う。
少しでも手を抜けば、気を抜けば自分の地位を剥奪されることを知っているから自ずと姿勢に出る。
前半1-2で折り返したが、同点に追いつかれたSPFCの監督が
「負けたら全員クビだ!」
と選手に喝を入れていたことを考えても、誰も素晴らしい環境とクラブのシンボルの重さを失いたくはないだろうし、寄せ集め(シーズン通してトレーニングを一緒にしていない)チームに負ける事は出来ないという意地とプライドは、後半3点我々から奪い、突き放した事を見ても、己が今何をすべきなのかをそれぞれが感じ、責任をこなす。
子供の頃から育ってきた環境の違いを、日本人選手と比較してまざまざと感じさせられてしまうのが正直な感想だ。
一つのミスを許さずに確実にゴールに襲いかかる。
一つのミスが致命的になる世界をまざまざと感じる事が出来るだけでも大切である。
2007年08月27日
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